%e3%82%b5%e3%83%b3%e3%83%88%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%81%ae%e3%83%84%e3%83%aa%e3%82%a3

才能

2016/12/17

 音楽は詳しくないのですが聴くのは好きです。
 ランランの公演を聴いてきました。
 余談ですが、チケットは6月に予約しました。その数日前にはヨーヨーマのチケット予約日でしたがこちらは取れませんでした。どんな公演も予約の段階で苦労をします。当日に気楽に公演に出かけられるということは望むべきではないのでしょうか。
 さてランランは想像を超える素晴らしさで…その多幸感は今も続いています。本人の希望で当初の案内と違ったプログラムでしたが、プログラムよりその音色に酔ってしまいます。
 プログラムはチャイコフスキーの「四季・1月/12月」で始まりました。
音楽無知な身には馴染みのない曲でしたが、その柔らかな繋ぎ目のない音は心身を浸していきます。彼の手は鍵盤の上を蝶が舞うように縫っていきます。
 その手が紡ぐ音は正確で、聴き手をリラックスさせます。一音一音が、ぶれることも濁ることもなく沸くように会場の隅々まで満ちていきます。
 休憩後のショパンのスケルツォは生で聴くことの至福を感じました。全身が包み込まれるスケールの大きな演奏でした。
 33歳の若さでこの力量です。9歳でショパンコンクールに優勝するという才能は、努力の賜物だとしても天与の資質がその研鑽を後押しするのでしょう。
 加えて「人となり」というのでしょうか。あれだけの繊細でいて、且つ大胆な技法を駆使しての迫力のある演奏で聴衆を魅了するソリストです。その彼が、屈託なく舞台で目薬をさすというパフォーマンスや、アンコールが2曲、3曲と重なるうちにカーテンコールだけで引き返すのかな…と思っていると小走りに戻ってきて、滑り込むように着席をして軽やかに演奏を始めるのです。その気取らない人柄が、完璧な演奏の中に織り込まれているのだろうと思いました。それは半端な人間にはできそうで、決して真似のできないことです。
 一流であることは技術だけでなく持って生まれた天賦の才に愛されたうえに、なお胡坐をかくことなく謙虚であり続けることでしょうか。
 良い演奏会をありがとうございました。
 

-->