ひきこもごも

定点観察

2018/08/15

 仕事帰りの混み合った車中で、初めて席を譲られました。
アイコンタクトで「私ですか」と自身を指差せば、相手の男性は首を縦にされました。「いぇいぇ」と手を振りますが、すでに席を立たれて手で「どうぞ」のジェスチャーです。黙礼をして着席しましたが…ちょっと複雑でした(笑)

 車中で定点観測ならぬ定点観察をするのは好きです。
 田舎だと電車に乗らないのでそんな機会は少なかったのですが、都会の電車内は実に種々様々な人たちの乗降があって、空想豊かに楽しめます。
 大半の人が車内でスマホを操作していますので、おばさんの視線の先を不審に思う人は皆無です。
 夏休みに入ってからは子供連れの乗降が増えました。
 子供たちはいつでも元気で正直です。目的地はどこでしょうか。
兄弟、姉妹だと喧嘩を始めたりします。母親の側がいい子・車外が眺めたい子…スマホやゲーム・おやつを食べたい子等々でたいへん賑やかです。
 稀に混み合った車内で「座りたい、座りたい」と叫ぶ子がいます。またママ友同士の子供達が座席を占領して自分たちの遊びを始め、ママたちはおしゃべりに夢中で周りの乗客は目に入らないグループもいます。
 押し並べて大人は空席を子供優先で座らせます。子供たちもそれを享受して不思議に思わない光景が日常化しています。
 昔、伊丹十三のエッセイで子供を公共の乗り物に乗せるときは、事前に「いいかい、病気の人や、寝不足で寝ていたい人、本を読みたい人、いろんな人が乗り合わせているので騒いだりしたら周りの人の迷惑になるんだよ。静かにできないのなら連れていけないよ」との趣旨を繰り返し話しておくと子供というのはちゃんと守れるというのを読みました。
 早速、我が家も実践して…実際その通りで助かったのを覚えています。
 先日ホームの待合室に、別々ですが同じ年頃の男の子を連れた母子が二組いました。電車が来て乗り込みますと、一組の母子はすぐに空席に座りました。もう一組の母子も男の子が空席を見つけて座ろうとしましたら母親が制止をしました。男の子は一方の親子連れを見てから母親を不服顔で見上げました。その時にお母さんが「あなたは料金を払ってないのよ。料金を払って乗る人のために座席は空けておくのよ」と小声で諭したのです。降車駅まで母子は立っていました。 実にわかりやすい説明で炎天を払うがごとくでした