ひきこもごも

雑駁な街で

2018/10/01

 福岡は筑豊地方で成育しました。幼少の頃の街は活気に溢れていましたが、今では見る影もなく自宅のあるアーケード街はシャッター通りであちこちに空地が目立つ寂しい通りです。
 仕事場がある阿佐ヶ谷は駅近の商店街に面しています。通りの入り口からパチンコ屋、マクドナルド、ラーメン屋、古着屋、焼肉屋、不動産屋、住宅とゴチャ混ぜですが、昔栄えていた頃の郷里の町に似ていることに気がついてから、俄然居心地が良くなりました。
 個人商店が店を連ねて半径200メートル内で、なんでも揃います。生活に密着した利便性…まさに育った環境そのものです。地元のご近所さん同士で言葉を掛け合う姿が窓越しに見てとれます。生活感の距離も程良い感じです。
 田舎っぺは都会に憧れていましたが、この親近感が懐かしく、癒される年齢になりました。多分都内には最新のオフィス街や繁華街・高級住宅街ばかりでなく庶民の暮らしや温もりが感じられる町が幾多もあるはずです。
 写真のギャラリーは中野の新井薬師の参道の途中にあります。
 阿佐ヶ谷と同じに、昔からの呉服屋、履物屋、豆腐屋等に混じって若い人の店構えのカフェ、ヘアサロン、ヨーロッパの街並みで見られるような手作りの飴工房等がちらほらとあり、新旧が混じる気さくな地域感に好感が持てます。
 一目で気に入りました。建物もさることながら、狭さ、安さ、立地、理想的なギャラリーです。3坪ほどのコンクリートの箱の中に「一器一仕の観せる袋」仕覆を数点で並べて、市井の人々の行き来を眺めながら…自分史「往来」を静観する時間も悪くないかなと、突発的に借りることを決めました。
 知人、友人の少ない東京ですが…「陽だまりの猫」の気分で、見ず知らずの通行人を招き寄せられたら嬉しいですね。終活の一環、閑古鳥もよしと遊ばせていただきます。