ちょっといいこと

2018/2/9

東京に寓していることで良いことの一つは、来日演奏家の音楽会に気楽にいけると考えていました。チケットの入手を含め、お膝元ですからコンサートが選べて手軽に楽しめると思っていました。ところが全くそうではなかったのです。
 聴きたい演奏家にはファンも多く、PCの先行予約の割り当ても…当日の予約も…油断して出遅れるとソールドアウトです。
 あとはホール窓口の売り出の日に並ぶだけです。無論並んだことはあります。暑い日にホールの前にたどり着くと葛折りの行列です。うんざりします。
 そうこうしているうちに、情熱も枯れてきてCDだけでもBGMとして聴いて心地よいという年齢になりました。
 ところが久しぶりに「マリア・ジョアン・ピリス」のピアノ・コンサートの案内メールが届きました。ピリスの引退公演です。
博多の「アクロス天神ホール」で聴いた記憶が蘇りました。その時はなぜか一番前の席でしたが、一音もブレない正確無比な演奏を聴かせていただきました。
音色はというか…表現者の表現・具現はそのひとそのものですから、ピリスの硬質な音色は彼女の気質だとおもって聴きました。衣装も民族衣装風で簡素で人柄が表れていました。
 「出かけていこう」と決めて…博多で同席した友人を誘いましたが、残念ながらチケットは取れませんでした。こういうことが続くと、コンサートにいこうという気持ちが阻喪してしまうのです。
 ところが会員登録していると案内メールが届きます。メールを開いてみていると8月のコンサートのチケット発売(3/3です)のお知らせです。聴きたい若手ソリストでしたので懲りずにメモに印をつけました。確かめるようにピリスの完売も眺めていて、ふと…思いついて主催元に電話をかけてみました。
 そしたら、なんと数枚残っていたのです。座席の贅沢はいっていられません。
 そしたら、なんとあの日と同じ一番前の席でした。
 さらにチケットが郵送で送られた中に「キドン・クレーメル」のデュオの案内…来週(2/14)が公演日です。「これは売れていないからだと」と…またまた電話です。で…サントリーのマニア席(安いのです)をゲットできました。
キドン・クレーメルは当代1、2を争うヴァイオリンの名手です。これは嬉しい。寒波襲来の二月に、立春先取りのちょっと心が弾むできごとでした。

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